「一度買ってくれたお客さんが、なかなかリピートしてくれない」
直販に取り組む農家さんにとって、リピーター獲得は永遠のテーマです。そこでおすすめしたいのが、LINE公式アカウントの活用です。
日本のLINE利用者数は9,000万人以上。メールよりも開封率が高く、お客さんとの距離が近いのがLINEの強みです。しかも、無料プランでも月200通までメッセージが送れるため、小規模な農家さんでも十分に活用できます。
この記事では、LINE公式アカウントの開設から、リピーターを生む配信のコツまでをお伝えします。
LINE公式アカウントが農家さんに向いている3つの理由

1. 開封率がメールの約3倍
メールマガジンの開封率は平均20%前後と言われていますが、LINEのメッセージ開封率は約60%。せっかく発信しても読まれなければ意味がありません。LINEなら、伝えたいことがしっかり届きます。
2. お客さんとの距離が近い
LINEは日常のコミュニケーションツールです。友人や家族とやりとりするのと同じ画面に、農家さんからのメッセージが届く。この「近さ」が、親近感と信頼感につながります。
3. 無料で始められる
LINE公式アカウントのフリープランは、月額無料で200通までメッセージを送れます。友だち数が少ないうちは、まったくコストをかけずにリピーター施策が打てるのは大きなメリットです。
LINE公式アカウントの開設手順

ステップ1:アカウントを作成する
LINE公式アカウントの公式サイトから、個人のLINEアカウントを使って開設できます。農園名をアカウント名にし、プロフィール画像には農園のロゴや田んぼの写真を設定しましょう。
ステップ2:あいさつメッセージを設定する
友だち追加してくれた方に自動で送られる「あいさつメッセージ」は、第一印象を決める大切なメッセージです。自己紹介と、どんな情報を配信するかを簡潔に伝えましょう。
例えば「○○農園です。お米の入荷情報や、田んぼの様子をお届けします。お気軽にメッセージもくださいね」といった内容がおすすめです。
ステップ3:リッチメニューを設定する
トーク画面の下部に固定表示される「リッチメニュー」を設定すると、ネットショップへの誘導やお問い合わせがスムーズになります。「お米を注文する」「農園について」「お問い合わせ」など、3〜6個のメニューを設定するのが一般的です。
リピーターが増える配信のコツ

月1〜2回の定期配信が理想
配信頻度が多すぎるとブロックされ、少なすぎると忘れられます。月に1〜2回、農園の近況やお米の入荷情報を配信するのがちょうど良いペースです。
「売り込み」ではなく「共有」を意識する
毎回「お米買ってください」では、すぐにブロックされてしまいます。大切なのは、農家さんの日常や季節の移り変わりを「共有」すること。
おすすめの配信テーマはこちらです。
- 季節の便り:「田植えが始まりました」「稲穂が色づいてきました」
- お米の豆知識:「新米の美味しい炊き方」「保存のコツ」
- 入荷・予約のお知らせ:「今年の新米、ご予約受付中です」
- 農家の日常:「今日の田んぼの風景」「子どもが田植えを手伝ってくれました」
こうした配信を続けていると、「今年もこの農家さんのお米を買おう」と自然に思ってもらえるようになります。
写真を必ず入れる
テキストだけのメッセージよりも、写真付きのメッセージのほうが圧倒的に反応が良くなります。田んぼの風景、稲穂のアップ、収穫の様子など、スマホで撮った写真で十分です。飾らない、ありのままの写真がむしろ信頼感につながります。
友だちを増やす方法

商品に同梱カードを入れる
お米を発送する際に、LINE公式アカウントのQRコード付きカードを同梱しましょう。「友だち追加で次回使える100円OFFクーポンプレゼント」など、追加のメリットを付けるとさらに効果的です。
直売所やイベントで案内する
対面でお客さんと接する機会があれば、QRコードを印刷したPOPやチラシを用意しておきましょう。「入荷のお知らせをLINEでお届けしています」と声をかけるだけで、友だち追加率はぐんと上がります。
SNSやネットショップから誘導する
InstagramやBASEなどのプロフィール欄に、LINE公式アカウントの友だち追加リンクを掲載しましょう。「LINEでお得な情報を配信中」と一言添えるだけで、登録のきっかけになります。
「お客さんとやり取りができる」──うちやま農園・しみず農園が大切にする、つながりの力

LINE公式アカウントの本当の価値は「お客さんと直接つながれること」。これを、実際に直販で顧客と深い関係を築いている2人の農家さんの言葉から読み解きます。
うちやま農園・内山幸一さん(新潟)──「頑張った分だけ声が聞ける」
魚沼コシヒカリ発祥の地・新潟県南魚沼で、椎茸の廃菌床を田んぼに還す循環型農業を続けているうちやま農園・内山幸一さん。取材で内山さんが語ってくれた言葉は、LINE公式アカウントを運用する時の心構えそのものでした。
「お客さんとやり取りができるっていうのが一番うれしいかなと思いますね。直接の声も聞けるし、手間はありますけど、頑張った分だけそういう声も聞けるよなと思って。そういう繋がりを強くしていきたいなあと思ってますね」
この一言に、LINE公式アカウントを使う理由が全部入っています。
- 「直接の声が聞ける」:他のSNSは一方通行、LINEは双方向
- 「手間はある」:でもそれを超える喜びがある
- 「繋がりを強くしたい」:単発の売上ではなく、長期の関係づくり
LINE公式は「配信ツール」ではなく「お客さんとの会話の場」として使うと、内山さんが目指しているような深い繋がりに一番近づけます。
👉 詳しいインタビューはこちら:椎茸の廃菌床が、田んぼを変えた。うちやま農園・内山幸一、魚沼コシヒカリ発祥の地で回す循環
しみず農園・清水正宣さん(新潟)──「口コミが一番強い」と言い切れる理由
もう一人は、宮崎から新潟に移住して7代目を継いだ、しみず農園・清水正宣さん。音楽と不動産の世界から農業に飛び込んだ32歳です。
清水さんは直販とネット販売の両方を経験したうえで、こう語ってくれました。
「自分たちで販売した方が利益的に大きいなっていうのと、やっぱり直接お客さんに販売して、反応が直で返ってくるっていうのが大きいなと」
「ネット販売は大変さもありますね。自分のところを選んでもらうっていうのは。でも口コミが一番強いなっていうのは実感してます」
清水さんの言葉で見逃せないのが、「口コミが一番強い」という実感です。
LINE公式アカウントは、まさに「口コミを設計する場」です。満足したお客さんがLINEで友人を招待する、買った人が感想をLINEで農家に送る──この小さなやり取りの積み重ねが、ネット広告よりも強い集客を生みます。
👉 詳しいインタビューはこちら:宮崎から新潟へ。音楽を手放した男が、しみず農園の7代目として田んぼを守ることを選んだ
2人に共通する、LINE運用の”正解”
- LINE=配信ツールではなく、会話ツールだと考える
- 返信の手間を惜しまない(内山さんの「頑張った分だけ声が聞ける」)
- 口コミ前提の設計にする(清水さんの「口コミが一番強い」)
- 人数ではなく、深さで勝負する(10人の濃いファン>1000人の軽いフォロワー)
あなたは、お客さん1人と何回やり取りしてますか?

LINE公式アカウントの成否は、フォロワー数ではなく、1人のお客さんと交わす会話の回数で決まります。
内山さんの「頑張った分だけ声が聞ける」という言葉の通り、LINEは農家が時間をかけた分だけ、お客さんとの関係が深くなるツールです。月1回の一斉配信よりも、1人のお客さんに丁寧に返事をする方が、ずっと大きなリピートを生みます。
まずはお客さん10人を大事にする設計から始めてみてください。そこから100人、500人に広がっていく時、「農家さん直接やり取りしてくれる」という評判が、他のどんな広告よりも強い集客になります。
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