新潟県南魚沼市 ひらくの里ファーム株式会社 ── 青木拓也さん
新潟県南魚沼市。日本有数の米どころで、35歳の青年が40ヘクタールの田んぼを動かしている。
ひらくの里ファーム株式会社、代表の青木拓也さん。祖父から受け継いだ2反の農地を、10年で200倍にした男だ。
東京で農業をやりたいと思った

青木さんは元々、農業をやるつもりがなかった。
祖父が兼業農家として田んぼを守っていた。でも継ぐ気はなかった。東京の大学に進学し、都会の生活を送っていた。
ところが、東京にいる間に気持ちが変わった。
「元々農業やるつもりなかったんですけど、一旦東京行って、大学行って、そこで農業やりたいと思って帰ってきて」
帰郷して2年後、祖父から経営移譲を受けた。2反の田んぼ。家族だけで回せるような、小さな始まりだった。
「2反ぐらいからの農地からスタートして、3年ぐらい個人でやってて、規模が大きくなってったんで法人化して」
2017年3月1日、ひらくの里ファーム株式会社を設立。そこから一気に拡大した。
5人で40ヘクタール

現在の作付面積は40ヘクタール。品種はコシヒカリ、新之助、つきあかり、こがねもち。
この広大な田んぼを、たった5人で回している。
「今5人ですね。で、パートアルバイトで2人から単発で少し何名かみたいな感じですね。なんとかやってます」
なんとか、と青木さんは笑う。でも40ヘクタールを5人で回すのは、並の話ではない。秘訣を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「色々機械とか使えばそれなりに」
農協への出荷は、ゼロ。直接販売が7割、業者への卸が3割。ネット経由の販売が中心で、ふるさと納税も活用している。作った米は、年間を通じて、きちんと売り切れる。
食味と情報発信、二つのこだわり

青木さんに、一番のこだわりを聞いた。
「1番で言ったらやっぱ食味と、あと情報発信みたいなところで」
食味については、土作りに力を入れ、JGAP認証を取得。コンクールで金賞を受賞した実績もある。
「直接販売してるコメが多いですので、食味についてはこだわりを持ってやってますし、あとはそれにして、生産者直売っていうことで、食味値とか含めて積極的にこう情報発信したりとかっていうところは頑張って取り組むようにしてます」
生産者直売だからこそ、作り手の顔と数字を見せる。それが信頼になる。
気候が、毎年変わる

農業で一番大変なことは何かと聞くと、青木さんは気候の話をした。
「気候が年々変化してるので、去年とか本当干ばつとかなったりとかして水の確保だったり、暑さの対策みたいなところはすごく毎年大変になってるなっていうのは感じますね」
年々変化する天候。去年は干ばつで水の確保に苦労した。暑さへの対策も、毎年新しい課題として突きつけられる。
それでも、気候を読み、狙い通りの品質のものができた時の喜びは大きい。
「ちゃんとそういう気候を読んで、狙った通りに収穫、品質のものができたり、あとそれを直接お届けして、良かったねとかっていう反応をいただくのは嬉しいですね」
地域の未来を、切り開く

今後の目標を聞くと、青木さんはこう答えた。
「うちが地域の未来を切り開くっていうことを念頭に置いてやってるんですけども」
農業は斜陽産業だと言われてきた。あまり稼げない。そんなイメージがあった。でも今、食料生産という仕事の重要性が見直されつつある。
「食料生産っていうところは、そういうところの部分としてしっかりと気候にも対応できるような技術力を会社で積み上げてって、かつそこで働いてる人がスタッフも含めて、誇りを持って自分のやっていること、会社を持てるような、そんな未来にしたいなっていう風に思ってますね」
2反から始まった農園は、10年で40ヘクタールになった。次は100ヘクタール。
南魚沼の若き経営者は、まだ走り続けている。
■ 農家プロフィール
🏡 ひらくの里ファーム株式会社
👤 青木拓也 ── 東京農大卒。祖父から2haを引き継ぎ、10年で40ヘクタールに拡大
📍 新潟県南魚沼市五十沢
🌾 コシヒカリ・新之助・つきあかり・こがねもち
👨👩👦 正社員5名+パート・アルバイト数名
🏆 JGAP認証取得・コンクール金賞受賞
📊 直販7割・業者卸3割。農協出荷ゼロ。年間売り切り
🎯 将来目標:100ヘクタール
🔗 https://www.hirakunosatofarm.com/
