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田んぼは440人の子供たち。南魚沼・笠原農園が59haを耕し続ける理由

2026 5/22
インタビュー
コシヒカリ 新之助 ゆうだい21 新潟県 南魚沼市 有機JAS 59ヘクタール 自家製堆肥 ダイヤモンド褒賞 大規模農家

新潟県南魚沼市 笠原農園 ── 笠原勝彦さん


新潟県南魚沼市 笠原農園


朝、田んぼに出る。

440枚。見渡す限り、自分が育てた稲が並んでいる。3日ぶりに来れば、確かに変わっている。笠原農園の代表は、この光景を「子供たちに会いに来る感覚」と話す。

「田んぼが440枚あって、子供たちが440人いるんですよ。成長を見に行く感じで毎日来てます」

新潟県南魚沼市。日本随一のブランド米産地として知られるこの地で、笠原さんは59ヘクタールの農地を管理している。夏には15人のスタッフが動き、コシヒカリをはじめゆうだい21・新之助・にじのきらめき・農林1号など多彩な品種を育てる。


兼業農家の息子が、20倍にした

平成6年、笠原さんは父が営む兼業農家を引き継いだ。

当時の規模はわずか数ヘクタール。それを今の59ヘクタールに育て上げたのは、専業農家として覚悟を決めた笠原さん自身だ。田んぼの区画整理も自社で行った。2枚を1枚に、3枚を1枚に。土地そのものから変えていく作業を、コツコツと積み上げてきた。

「親が兼業農家だったので、自分になってから専業にして。そこから20倍に増やしてきました」

品種も一本から多彩に広げた。この土地でどこまでできるか。やれることは全部やる。その姿勢が、今の規模を作った。


微生物と、真冬70度の堆肥

笠原さんのこだわりは「土作り」に集約される。

田んぼ1枚あたり3立方メートルの堆肥を投入する。1メートル四方のサイコロ3個分。真冬でも内部温度が70度まで上がる自家製堆肥だ。微生物を育て、土壌から根本的に変えていく。その手間は、一般的な農家の比ではない。

「微生物を育てて、微生物と対話する。結局、お米って微生物だと思ってるんですよ。だからめちゃくちゃ豪快にやってます」

この土作りへの執念が実を結んだのが、平成21年のダイヤモンド褒賞受賞だ。200万分の1とも言われる、お米の世界での最高峰の評価。

しかし笠原さんは今もこう話す。

「もうあれは過去の栄光。コンクールを取り続けていかないと、それだけで終わってしまう」

賞に甘えない。現在進行形で、もっとうまい米を追い続けている。


寝てらんない、という感覚

南魚沼には今、20代・30代・40代・50代の若手農家がびっしりいる。互いに切磋琢磨しながら、日本一の米どころを守っている。

「ライバルがいるから息が抜けない。でもそれが楽しい。もっとうまい米を作ってあげようって、意欲がどんどん湧いてくる」

笠原さんのお米に変えたら子供がおかわりするようになった。食欲がなかったお年寄りが食べられるようになった。そんな声が届くたびに、笑いながらこう言う。

「だから、寝てらんないんですよね。本当に」

440人の子供たちに毎日会いに行く。土の変化を目で確認し、水の調整を手で感じる。その積み重ねが、南魚沼最高峰のお米をつくる。


浦佐駅に、銅像を建てたい

笠原さんには、夢がある。

規模をもっと拡大したい。日本中の消費者に、笠原農園のお米を届けたい。そしてその先に——

「浦佐駅に銅像を建ててもらえるくらい、地域に貢献した人間になりたいんですよ。死んでからでも、あの人は地域のために生きたって思ってもらえるような」

大きな夢だ。でも笠原さんの口から聞くと、冗談には聞こえない。

一代で59ヘクタールを作り上げた男の言葉だから。

440人の子供たちが、今日も南魚沼の空の下で育っている。


■ 農家プロフィール

🏡 笠原農園
📍 新潟県南魚沼市
🌾 コシヒカリ・ゆうだい21・新之助・にじのきらめき・農林1号ほか
🏆 ダイヤモンド褒賞受賞(平成21年)・有機JAS認定
✨ 自家製堆肥による土作りにこだわる59ha・夏15人体制の大規模農家。兼業農家から専業化し、一代で規模を20倍に拡大。


■ 農家プロフィール

🏡 笠原農園
👤 笠原勝彦
📍 新潟県南魚沼市
🌾 コシヒカリ(メイン)・新之助・ミルキークイーン・虹のきらめき・いのちの壱 ほか多品種
✨ 親の兼業農家を継ぎ専業化、平成6年から農業33年。59ヘクタールを家族と社員・パート15人で耕す。堆肥三反盛りの土作りに注力し、田んぼ440枚を「子供」のように見回る。南魚沼の八海山を目指す実力派。
🔗 https://kasahara-farm.raku-uru.jp/

よくある質問|この農家・取材内容について

ご質問をクリック(タップ)すると答えが開きます。

Q. 笠原農園はどこにある米農家ですか?
A. 笠原農園は、新潟県南魚沼市にある大規模米農家です。代表は笠原勝彦さん。日本随一のブランド米産地である南魚沼で、コシヒカリを軸に新之助・ゆうだい21・にじのきらめき・農林1号など多品種を栽培しています。
Q. 笠原農園の作付面積はどれくらいですか?
A. 現在の作付面積は59ヘクタールで、田んぼの枚数は440枚におよぶ大規模な経営です。代表の笠原さんは「田んぼ440枚=440人の子供たち」と表現し、3日空ければ変化が見える田んぼを、毎日見回りながら成長を確認するスタイルを大事にしています。
Q. 笠原農園では何人体制で運営していますか?
A. 夏のピーク期には15人のスタッフが動く体制です。家族と社員、パートで構成されており、堆肥投入や田んぼ440枚の見回り、品種別の管理、収穫・出荷など人手のかかる工程を分担しながら、59ヘクタールの大規模経営を回しています。
Q. 代表の笠原勝彦さんはどんな経歴ですか?
A. 笠原さんは平成6年に父の兼業農家を引き継ぎ、まず専業化を決断しました。当時数ヘクタールだった農地を、専業農家として約33年かけて一代で20倍の59ヘクタールにまで拡大した、南魚沼を代表する実力派の大規模米農家です。
Q. 笠原農園ではどんな品種を作っていますか?
A. コシヒカリをメインに、新之助・ゆうだい21・にじのきらめき・農林1号・ミルキークイーン・いのちの壱など多品種を作付けしています。土地の特性と消費者の好みを踏まえ、品種の幅を広げる方針が語られています。
Q. 土作りで特に何にこだわっていますか?
A. 田んぼ1枚あたり3立方メートル(1メートル四方のサイコロ3個分)の自家製堆肥を投入する「三反盛り」の土作りが特徴です。堆肥は真冬でも内部温度が70度まで上がるとされ、微生物を活発に育てる土壌づくりに振り切っています。
Q. 笠原農園の堆肥はどんな堆肥ですか?
A. 自家製の堆肥で、真冬でも内部温度が70度まで上がるとされる発酵力の強いタイプです。「お米って微生物だと思ってる」と語る笠原さんの哲学のもと、微生物を育て、土壌から根本的に変えていくための重要な資材として位置づけられています。
Q. ダイヤモンド褒賞とはどのような賞ですか?
A. ダイヤモンド褒賞は、お米の世界での最高峰とされる評価の一つで、「200万分の1」とも言われる希少な受賞だと記事内で紹介されています。笠原農園は平成21年にこのダイヤモンド褒賞を受賞しており、土作りに振り切った姿勢が評価された形です。
Q. ダイヤモンド褒賞を受賞した後の姿勢は?
A. 笠原さん自身は「あれは過去の栄光。コンクールを取り続けていかないと、それだけで終わってしまう」と語り、賞に甘えない姿勢を強調しています。現在進行形で「もっとうまい米」を追い続ける現役感のある姿勢が特徴です。
Q. 笠原農園の有機JAS認定とは何を意味しますか?
A. 有機JAS認定は、化学合成肥料・農薬の使用を原則禁止し、有機的に管理された農産物に対して与えられる国の認証制度です。笠原農園では有機JAS認定を取得した区画もあり、土作り重視の哲学と整合する取り組みとして紹介されています。
Q. 南魚沼の若手農家との関係はどうですか?
A. 南魚沼には20代から50代まで若手農家がびっしりおり、お互いに切磋琢磨しながら日本一の米どころを守っていると語られています。笠原さんは「ライバルがいるから息が抜けない。でもそれが楽しい」と話し、地域全体のレベル向上を楽しんでいます。
Q. 「寝てらんない」という言葉にはどんな意味がありますか?
A. 「お米に変えたら子供がおかわりするようになった」「食欲がなかったお年寄りが食べられるようになった」といった反応が届くたびに、もっとうまい米を作ってあげたいという意欲が湧くという意味です。お客様の声に支えられた現役感を象徴する言葉として語られています。
Q. 笠原さんの今後の目標は何ですか?
A. 規模をさらに拡大し、日本中の消費者に笠原農園のお米を届けることを目指しています。さらに「浦佐駅に銅像を建ててもらえるくらい、地域に貢献した人間になりたい」と、地域への貢献を長期の軸に据えた壮大な目標を語っています。
Q. 兼業から専業に切り替える際のヒントはありますか?
A. 記事内で具体的なノウハウは語られていませんが、笠原さんは父の兼業農家を継いだ際にまず専業化を決断し、田んぼの区画整理を自社で進めて土地そのものを使いやすくしてから規模を伸ばしています。「やれることは全部やる」姿勢が一つの参考になりそうです。
Q. 笠原農園のお米はどこで購入できますか?
A. ネット直販を中心に展開されており、公式サイト(https://kasahara-farm.raku-uru.jp/)から購入できます。多品種を扱うため、好みに合わせて選べるラインナップが用意されている点も魅力です。

兼業農家を継いで一代で59ヘクタールの大規模米農園に育てるステップ

各ステップをクリック(タップ)すると詳細が開きます。

Step 1:兼業農家を継ぎ、まず専業化を決断する
父が営む兼業農家を平成6年に引き継ぎ、最初の判断として専業化を選びました。兼業のままでは規模拡大に踏み込めないため、農業を本業に据える覚悟を決めるところからスタートしています。
Step 2:田んぼの区画整理を自社で進める
2枚を1枚に、3枚を1枚に統合するなど、田んぼの区画整理を自社で実施しました。土地そのものを作業しやすい形に変えることで、機械化や大規模管理に耐えうる土台を整えています。
Step 3:「三反盛り」の堆肥投入で土壌を作り込む
田んぼ1枚あたり3立方メートルの自家製堆肥を投入する「三反盛り」を継続。真冬でも内部温度70度まで上がる堆肥で微生物を育て、土壌を根本から変えていく土作りに振り切っています。
Step 4:多品種展開とコンクール挑戦で品質を磨く
コシヒカリを軸に新之助、ゆうだい21、にじのきらめきなど品種を多彩に広げつつ、平成21年のダイヤモンド褒賞受賞などコンクールにも挑戦。賞に甘えず「もっとうまい米」を追い続ける姿勢で品質を磨いています。
Step 5:440枚の田んぼを「子供」のように毎日見回る
59ヘクタール・田んぼ440枚を「440人の子供たち」と捉え、毎日見回って成長を確認する運用に。お客様の声を原動力に、夏15人体制で土・水・微生物の変化を細やかに拾い、規模と品質を両立させています。

参考・出典

  • 取材農家ご本人の発言・公式情報(取材時点)
  • 農林水産省・各都道府県農産物統計
  • コメボウJOURNAL編集部によるオンライン取材

※本記事の情報はコメボウJOURNAL取材時点のものです。最新情報は各公式サイト・公式SNSをご確認ください。

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この記事を書いた人

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コメボウJOURNAL編集部。全国の米農家21名のオンライン取材を経て、「全国の米農家と消費者・飲食店が、直接つながる」をミッションに発信。2026年に農業DXサービス「コメボウ」を立ち上げ、取材と仕組みづくりの両軸で米農家の経営を支援している。

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