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競走馬の町で、米を作る。北海道浦河・中山農園が12年間守り続ける特別栽培

2026 5/23
インタビュー 産地ガイド
特別栽培米 ななつぼし おぼろづき 北海道 浦河町 オリジナルブレンド 飲食店卸 ふるさと納税

北海道浦河郡浦河町 合同会社中山農園 ── 中山晃寿さん


北海道浦河郡浦河町 中山農園


北海道浦河町。

名前を聞いて「米どころ」と思い浮かべる人は、おそらくほとんどいない。この町の主役は軽種馬——競走馬の産地として全国に知られる場所だ。最近では夏イチゴの出荷量が全国1位になり、注目を集めている。

そんな町で、8ヘクタールの水田をほぼ1人で耕す農家がいる。

合同会社中山農園、代表の中山晃寿さん。農業大学を卒業後、20歳で就農し、今年で14年目を迎える。町内で最大面積の米農家だ。


4代続いた農地を、自分の名前で

中山さんの家は、曾祖父の代から農業を営んできた。ただし「中山農園」という名前には歴史がない。5〜6年前、中山さん自身がつけた名前だ。

代々受け継がれてきた土地に、自分の看板を掲げる。それは覚悟の表明でもあった。

農業大学で2年間学び、卒業と同時に就農。父母は花の生産を担い、米は中山さんがほぼ1人で回している。パートスタッフは1人。8ヘクタールの作業を、基本的に自分の手で完結させる日々が続く。

品種はななつぼしとおぼろづき。来年からはこの2品種に絞り込む予定だという。加えて、2つの品種を掛け合わせたオリジナルブレンド「悪魔ブレンド」も手がける。おぼろづきの粘りと、ななつぼしのあっさりした食感。その両方を活かしたブレンドは、地元の飲食店でも使われている。


鶏糞を3倍撒く理由

中山農園の米は、特別栽培米だ。化学肥料と化学農薬を、一般的な基準の5割以下に抑えて栽培している。この取り組みを始めて、12年になる。

化学肥料の代わりに使うのは、鶏糞の発酵粉。通常の2〜3倍の量を田んぼに散布する。手間は何倍にもなる。それでも続けてきたのには、理由がある。

「特別栽培に切り替えてから、お客様に美味しくなったって言っていただけるようになりました」

味の変化は、顧客からの反応ではっきりと感じ取れたという。

もう一つ、中山さんが意識しているのは環境への配慮だ。田んぼに流れる水は、やがて川を下り、海へたどり着く。農薬や化学肥料を減らすことは、自分の米の品質だけでなく、この土地の自然そのものを守ることにつながる。12年間、その信念はぶれていない。


60トンのプレッシャー

数年前、米価が大きく下落した。10キロあたり3,000円。農協に卸すだけでは、経営を維持できない水準だった。

周囲に米農家が少ない浦河という土地で、自力をつけなければ生き残れない。中山さんは直販への転換を決断する。

現在、生産量の8割を自分で販売している。自社ホームページ、食べチョク、ポケマルといったネット販売。ふるさと納税は新米の時期になると月200件を発送する大きな柱だ。さらに飲食店への卸しは15〜20店舗。地元のホテルや居酒屋、中華料理店から、幼稚園、ニセコや札幌の飲食店にまで広がっている。

しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。

「60トンの玄米を全部販売できるかっていうプレッシャーは大きかったです」

年間の収穫量、約60トン。それをすべて自力で売り切る。直販に舵を切った以上、売れ残りは許されない。営業経験のなかった中山さんにとって、飲食店への売り込みは特に苦しかったという。反響がない時期が長く続いた。


同級生がつないだ、飲食店の輪

転機は、意外なところからやってきた。

浦河で育った友人や同級生が、地元で飲食店やブランド牛の経営を始めていた。彼らが中山さんの米を使い、口コミで広げてくれたのだ。紹介が紹介を呼び、飲食店の取引先は一気に増えていく。

SNSでの発信、農業雑誌「ニューカントリー」への掲載、YouTuberからの取材。認知度は少しずつ、しかし確実に上がっていった。ふるさと納税をきっかけに中山農園を知り、その後ネット販売でリピーターになる消費者も現れ始めている。


「子どもの食べる量が増えた」

中山さんに、一番嬉しかったことを聞いた。

飲食店がお米を中山農園に切り替えたあと、常連客から「味が良くなったね」「どこのお米に変えたの?」と声が上がったこと。それは、自分の米の実力を第三者が証明してくれた瞬間だった。

そしてもう一つ。

「子どもの食べる量が増えたって言っていただけるのが、すごいありがたい」

幼稚園や一般家庭から届く声。お米が好きじゃなかった子どもが、食べるようになった。おかわりするようになった。その報告が、何よりも中山さんの原動力になっている。


浦河の名前を、お米で届ける

中山さんの目は、自分の農園だけに向いているわけではない。

高齢化が進み、離農する農家が増えている。その農地を引き受け、面積を集約しながら地域の農業を守りたいという思いがある。ただし、大量生産に走るつもりはない。あくまで特別栽培を貫き、「浦河産」という付加価値をお米に乗せていく。

「お米を通じて浦河町の名前を知っていただくことにも繋がると思う」

競走馬の町として知られる浦河に、もう一つの顔を作る。中山さんにとって米作りは、生業であると同時に、地元への貢献そのものだ。


この一粒に、農家のリスクが詰まっている

最後に、消費者へのメッセージを尋ねた。

米作りは、外から見れば単純に見えるかもしれない。しかし実際には天候との戦いであり、毎年が賭けでもある。燃料代、肥料代、運送費、パッケージ代——あらゆるコストが高騰する中で、農家は大きなリスクを背負いながら生産を続けている。

特別栽培の意味を知ってほしい。顔を出して、名前を出して販売している農家が、どんな考えでお米を作っているのかを理解した上で食べてほしい。中山さんの言葉には、静かだが確かな熱があった。

競走馬の町で、たった1人で8ヘクタールの田んぼに向き合う。化学肥料を減らし、鶏糞を3倍撒き、60トンの米を自分の手で売り切る。

その覚悟が、北海道浦河のお米を全国に届けている。


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@akihisa_nakayama

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■ 農家プロフィール

🏡 合同会社中山農園
👤 中山晃寿
📍 北海道浦河郡浦河町
🌾 ななつぼし・おぼろづき・悪魔ブレンド(オリジナル)
✨ 4代続く農家。特別栽培米を12年継続し、化学肥料・農薬を北海道慣行の5割以下に抑制。8ヘクタールをほぼ1人で管理し、食べチョク・ポケマル・ふるさと納税、飲食店15〜20店舗との取引で直販8割を実現。
🔗 https://www.nakayamanouen.net/

よくある質問|この農家・取材内容について

ご質問をクリック(タップ)すると答えが開きます。

Q. 中山農園はどんな農家ですか?
A. 北海道浦河郡浦河町で水田約8ヘクタールを耕す米農家です。代表の中山晃寿さんは農業大学卒業後20歳で就農し、農業歴14年。曾祖父の代から続く4代目で、町内最大面積の米農家といわれています。化学肥料・農薬を北海道慣行の5割以下に抑える特別栽培を12年継続中です。
Q. 中山農園で作っているお米の品種は何ですか?
A. メイン品種は「ななつぼし」と「おぼろづき」です。来年からはこの2品種に絞り込む方針とのこと。さらに2品種を掛け合わせたオリジナルブレンド「悪魔ブレンド」も手がけ、おぼろづきの粘りとななつぼしのあっさり感を両立させた食味で、地元の飲食店でも採用されています。
Q. 特別栽培米とは何ですか?中山農園の取り組みは?
A. 特別栽培米は、その地域で慣行的に使われる化学肥料・化学農薬を5割以下に抑えて栽培した米を指すといわれています。中山農園では化学肥料の代わりに鶏糞の発酵粉を通常の2〜3倍量散布する独自の方法で、12年間この基準を守り続けています。
Q. なぜ中山さんは鶏糞を3倍も撒くのですか?
A. 化学肥料を使わずに地力を保つためです。鶏糞の発酵粉を通常の2〜3倍量散布することで土壌の栄養を補い、特別栽培の基準を維持しています。手間は何倍にもなりますが、お客様から「美味しくなった」と声をいただけるようになり、続けてきた価値を実感しているそうです。
Q. 浦河町はお米の産地として有名ですか?
A. 浦河町は競走馬(軽種馬)の産地として全国に知られる町で、近年は夏イチゴの出荷量が全国上位を誇るといわれています。米どころのイメージは強くありませんが、その中で中山農園が8ヘクタールという町内最大規模で米作りに取り組んでいます。
Q. 中山農園のお米はどこで買えますか?
A. 自社ホームページ(nakayamanouen.net)、食べチョク、ポケマル、ふるさと納税といったオンラインチャネルで購入できます。新米時期のふるさと納税では月200件規模の発送実績があるそうです。また地元飲食店15〜20店舗にも卸されており、店頭で味わうことも可能です。
Q. 中山農園のお米を扱う飲食店はどこですか?
A. 地元浦河のホテルや居酒屋、中華料理店、幼稚園のほか、ニセコや札幌の飲食店にまで取引が広がっているそうです。同級生や友人がつないだ口コミから飲食店の輪が広がり、現在15〜20店舗で使われています。
Q. 「悪魔ブレンド」とはどんなお米ですか?
A. 中山農園オリジナルのブレンド米で、ななつぼしとおぼろづきを掛け合わせたものです。おぼろづきの強い粘りと、ななつぼしのあっさりした食感の両方を活かす設計で、地元飲食店でも採用されています。家庭用としても飲食店用としても重宝されているそうです。
Q. 中山農園のふるさと納税はいつ申し込めますか?
A. 新米シーズンが大きな繁忙期で、月200件規模の発送実績があるといわれています。具体的な受付時期や返礼品ラインナップは年度により変動するため、最新情報は浦河町のふるさと納税ポータルや中山農園公式サイトでご確認ください。
Q. 特別栽培米は本当に味が違うのですか?
A. 中山さんは「特別栽培に切り替えてからお客様に美味しくなったと言っていただけるようになった」と語っています。また、飲食店が中山農園のお米に切り替えた後、常連客から「味が良くなった」「どこのお米に変えたの」と声が上がる事例もあったそうです。食味は栽培方法や品種で変わるといわれています。
Q. 中山農園は環境への配慮もしていますか?
A. はい。中山さんは「田んぼの水はやがて川を下り海へたどり着く」という意識のもと、化学肥料・農薬を減らすことで土地の自然そのものを守る取り組みを12年間続けています。お米の品質だけでなく地域環境への配慮も特別栽培を継続する大きな理由といわれています。
Q. 中山農園の生産量と直販比率はどれくらいですか?
A. 年間の収穫量は約60トン。そのうち約8割を中山さん自身で直販しているそうです。残りは農協への出荷で、米価下落をきっかけに「自力で売り切る」体制へ大きく舵を切りました。営業未経験から飲食店開拓に挑んだ実体験が語られています。
Q. 中山さんが米作りを通じて一番嬉しかったことは何ですか?
A. 「子どもの食べる量が増えた」という幼稚園や家庭からの声だと語っています。お米があまり好きじゃなかった子どもがおかわりするようになった、という報告が原動力になっているそうです。第三者から味を評価してもらえた瞬間が、何より励みになるとのこと。
Q. 中山農園の今後のビジョンは?
A. 高齢化で離農する地域農家の農地を引き受け、面積を集約しながら浦河の農業を守る構想を持っています。ただし大量生産には走らず、特別栽培を貫き「浦河産」という付加価値を米に乗せていく方針です。米を通じて競走馬の町・浦河に「もう一つの顔」を作りたいといわれています。
Q. 中山農園のSNSはどこで見られますか?
A. Instagram(@akihisa_nakayama)で日々の田んぼの様子や作業風景を発信中です。北海道浦河町の田んぼから中山晃寿さんの日常を毎日発信していますので、フォローして応援していただけたら嬉しいです。最新情報や直販案内もSNS経由でチェックできます。

中山農園の特別栽培米を選ぶ・楽しむ5ステップ

各ステップをクリック(タップ)すると詳細が開きます。

Step 1:品種を選ぶ
ななつぼしのあっさり感か、おぼろづきの粘りか、好みで選びます。両方の良さを楽しみたい方はオリジナルブレンド「悪魔ブレンド」がおすすめです。
Step 2:購入チャネルを決める
自社ホームページ、食べチョク、ポケマル、ふるさと納税から選びます。継続購入なら直販サイト、お得感ならふるさと納税が選択肢といわれています。
Step 3:新米時期を狙う
新米シーズンはふるさと納税で月200件規模の発送実績がある人気時期です。最新情報を公式サイトやSNSで早めに確認しておくと安心です。
Step 4:炊き方を工夫する
特別栽培米の食味を活かすため、研ぎすぎず・浸水を30分以上取るのが一般的です。品種ごとの粘り・硬さに合わせて水加減を微調整してください。
Step 5:感想を農家に届ける
Instagram(@akihisa_nakayama)で感想を伝えると、農家のモチベーションになります。子どもの食べる量が増えた等の声が中山さんの原動力になっているそうです。

参考・出典

  • 取材農家ご本人の発言・公式情報(取材時点)
  • 農林水産省・各都道府県農産物統計
  • コメボウJOURNAL編集部によるオンライン取材

※本記事の情報はコメボウJOURNAL取材時点のものです。最新情報は各公式サイト・公式SNSをご確認ください。

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コメボウJOURNAL編集部。全国の米農家21名のオンライン取材を経て、「全国の米農家と消費者・飲食店が、直接つながる」をミッションに発信。2026年に農業DXサービス「コメボウ」を立ち上げ、取材と仕組みづくりの両軸で米農家の経営を支援している。

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