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「バカにされた直売」が、百貨店の棚に並ぶまで。佐藤ファーム、親子二代の米づくり」

2026 5/22
インタビュー
つや姫 ミルキークイーン 雪若丸 コシヒカリ 山形県 米沢市 百貨店 金賞受賞 直販 30ヘクタール

山形県米沢市 佐藤ファーム ── 佐藤世和さん


山形県米沢市。

盆地特有の厳しい寒暖差が、甘く、粘りのある米を育てる土地。

この地で江戸時代から代々稲作を営んできた一軒の農家がある。

佐藤ファーム。

取材に応じてくれたのは、現場を取り仕切る佐藤世和さん。代表である父のもと、10年前にこの世界に飛び込んだ。


「何やってんだ」と笑われた日

今でこそ百貨店の米売り場に並び、カタログギフトの定番として全国に届く佐藤ファームのお米。

しかし、この道を切り拓いたのは、世和さんの父だった。

きっかけは、約30年前。食糧管理制度が廃止され、米の流通が自由化された時代。

「農協に卸すだけでは、生活していけない」

そう判断した父は、自分の足で売る道を選んだ。

当時、周囲の農家たちの反応は冷ややかだった。

「何やってんだ」── そんな目で見られていたという。

直販という選択は、農家の常識から大きく外れていた。応援してくれる人は、ほとんどいなかった。

それでも、父はやめなかった。


小学生が立った、東京の商店街

世和さんには、忘れられない原風景がある。

小学生の頃、父に連れられて東京の商店街に立った。

販売会のお手伝い。目の前を行き交う人に、父が声をかけ、お米を手渡していく。その姿を、隣でずっと見ていた。

「自分らで売るっていう考え方しか、もうないんですよ。農協さんの方で卸して生計を立てるやり方は、全くわからないっていう状況です」

世和さんはそう笑う。

農協に出荷するという選択肢が、そもそも頭にない。それは父の背中を見て育った人間だけが持つ、静かな確信だった。


10年で3倍。でも変えないもの

世和さんが現場に入った10年前、佐藤ファームの栽培面積は約10ヘクタール。

それが今、30ヘクタール。

さらに仕入れも含めると、年間で60ヘクタール分のお米を取り扱う。 毎日1トンから1.5トンを出荷する日もある。品種は9種類、商品アイテムは100を超える。

規模は3倍になった。しかし、世和さんの言葉は驚くほどシンプルだ。

「米づくりで一番こだわっていることですか? いや、こだわってることはそんなになくて。最低限やらなきゃいけないことを、しっかりやるっていう感じです」

「やることをやっていたら、こうなったんです」

この言葉を、謙遜と受け取ってはいけないと思った。

金賞3度、最優秀賞。 数々の受賞歴は、「やることをやる」を30年以上、一日も手を抜かずに続けた結果だ。

派手な言葉も、特別な技術も語らない。

ただ、毎日の水管理を怠らない。土づくりを省かない。 米糠、大豆、鯉のアラ。地域の産物で、丁寧に土を育てる。それを、来る年も来る年も。


毎年が「100年に1度」の時代に

農業で一番大変なことは何か。そう尋ねると、世和さんの表情が少し変わった。

「気温と気候の変化ですね。毎年のように100年に1度みたいなことが起きる。同じ味を作り出すのが、どんどん難しくなっています」

猛暑、豪雨、予測できない天候。同じように作っても、同じ味にならない。

「作業自体よりも、日々の管理のところがやっぱり難しくなってきて。特に水ですかね。水が一番難しくなったかなと」

30ヘクタールの田んぼの水を管理するのは、世和さんともう1人の従業員、たった2人。 繁忙期でも4人。

それでも、毎年同じ美味しさのお米を届ける。

「やることをしっかりやる」の意味が、ここでようやくわかる。

百貨店の催事場で起きたこと

父が切り拓いた直販の道は、ある日、大きく開けた。

20年以上前、東京の百貨店の催事場で試食販売をした時のことだ。

反応は、想像以上だった。

催事場から、常設の売り場へ。バイヤーや担当者が応援してくれた。

「人に恵まれたんです。 周りの方々が押してくださった。当時はお米をブランディングするっていう概念がなかなかなかった時代だったんですよ。それにうまく乗れたのかなと」

かつて冷ややかな目で見られた直販が、百貨店の棚に並んだ瞬間だった。


「美味しかったよ」

農業をやっていて良かったことは何か。

世和さんは少し考えてから、こう言った。

「どちらかといえば、もう生活の一部になっているので。強いて言うなら、お客さんと直接コミュニケーションを取っている中で、美味しかったよと言っていただける時ですかね」

全国の百貨店を回り、試食販売で顔を合わせる。お電話やメールで届く声。

SNSでも、ECサイトでもない。目の前のお一人に、手渡しで届ける。

「ネットよりも、足で稼ぐという方が多いのかなと」

30年前、商店街に立った父と同じことを、今、息子がやっている。


まだ、届いていない食卓がある

毎日1トンを超える出荷量。全国の百貨店に並ぶ実績。金賞、最優秀賞の受賞歴。

それでも、佐藤ファームのお米を知らない方の方が、圧倒的に多い。

「味のばらつきがなく、毎年しっかりとした美味しいお米を作れるよう、頑張っていく」

特別なことは言わない。約束するのは、ただ一つ。

来年も、同じ美味しさを届けること。

その静かな覚悟を、私たちはもっと多くの食卓に届けたいと思う。


佐藤ファーム
📍 山形県米沢市
🌾 つや姫・ミルキークイーン・雪若丸・コシヒカリ・はえぬき・いのちの壱 他
🏆 米・食味分析鑑定コンクール国際大会 金賞(3度)/お米日本一コンテスト 最優秀賞


■ 農家プロフィール

🏡 佐藤ファーム
👤 佐藤世和
📍 山形県
🌾 つや姫・ミルキークイーン・はえぬき・雪若丸・コシヒカリ・いのちの壱 ほか9品種
✨ 父の代から約35年前に直販を開始。栽培30ヘクタール・取扱60ヘクタール規模で、百貨店やカタログギフトを中心に全国へ展開。「足で稼ぐ」営業で信頼を積み上げてきた二代目農家。
🔗 https://sato-farm-yamagata.com/

よくある質問|この農家・取材内容について

ご質問をクリック(タップ)すると答えが開きます。

Q. 佐藤ファームはどこにありますか?
A. 山形県米沢市にあります。米沢盆地特有の厳しい寒暖差が、甘みと粘りのあるお米を育てる土地として知られる地域です。江戸時代から代々この地で稲作を続けてきた長い歴史をお持ちで、現在は世和さんが現場を取り仕切られている家族農家です。
Q. 佐藤ファームではどんな品種を作っていますか?
A. つや姫・ミルキークイーン・雪若丸・コシヒカリ・はえぬき・いのちの壱など、約9品種を取り扱われています。商品アイテム数は100を超え、ご家庭用から贈答用まで幅広い用途に応じたラインナップが揃えられている印象でした。
Q. 佐藤ファームはいつから直販を始めたのですか?
A. 今から約30年前、食糧管理制度が廃止され米の流通が自由化された時代に、世和さんの父・佐藤代表が直販を始められました。「農協に卸すだけでは生活していけない」と判断し、自分の足で売る道を選んだのが原点です。
Q. なぜ「バカにされた直売」と呼ばれたのですか?
A. 直販を始めた当時、周囲の農家からは「何やってんだ」という冷ややかな目で見られていたそうです。農協出荷が当たり前の時代に、自分で売り歩くという選択は常識から外れていて、応援してくれる人はほとんどいなかったと振り返られています。
Q. 佐藤ファームのお米はどこで買えますか?
A. 百貨店の米売り場やカタログギフトの定番として全国に展開されているほか、催事場での試食販売、お電話やメールでの直接注文にも対応されています。最新の販売情報は公式サイト(https://sato-farm-yamagata.com/)でご確認ください。
Q. 栽培規模はどのくらいですか?
A. 現在の栽培面積は約30ヘクタールで、世和さんが現場に入られた10年前と比べて約3倍に拡大しています。さらに仕入れを含めると年間60ヘクタール分のお米を取り扱い、毎日1トン〜1.5トンを出荷する日もあるそうです。
Q. 佐藤ファームの受賞歴を教えてください。
A. 米・食味分析鑑定コンクール国際大会で金賞を3度、お米日本一コンテストで最優秀賞を受賞されています。世和さんは「やることをやっていたら、こうなった」と謙虚に語られていますが、30年以上一日も手を抜かない積み重ねの結果と言えそうです。
Q. 佐藤ファームの米づくりで特にこだわっていることは何ですか?
A. 世和さんは「特別なこだわりはなく、最低限やらなければいけないことをしっかりやるだけ」とお話しされています。毎日の水管理を怠らず、米糠・大豆・鯉のアラといった地域の産物で丁寧に土づくりを続けることを大切にされています。
Q. 気候変動の影響はありますか?
A. 「毎年のように100年に1度みたいなことが起きていて、同じ味を作るのが難しくなってきた」と世和さんは語られていました。特に水の管理が一番難しくなっているとのことで、近年の猛暑や豪雨への対応が現場の大きな課題になっているようです。
Q. 30ヘクタールを何人で管理していますか?
A. 通常は世和さんともう1人の従業員、たった2人で管理されているとのことです。繁忙期でも4人体制。それでも毎年同じ美味しさを届けるために、日々の管理を一切省かないというのが「やることをしっかりやる」という言葉の中身です。
Q. 百貨店で扱われるようになったきっかけは何ですか?
A. 20年以上前、東京の百貨店の催事場で試食販売を行ったことがきっかけです。反応が想像以上に大きく、バイヤーや担当者が応援してくれて、催事場から常設売り場へと広がりました。「人に恵まれた」と世和さんはお話しされていました。
Q. 贈答用やカタログギフトでも使えますか?
A. 佐藤ファームのお米はカタログギフトの定番として全国に届けられており、贈答用途にも広く活用されています。9品種・100アイテム超のラインナップから、用途や予算に合わせて選びやすい構成になっていると感じました。詳細は公式サイトでご確認ください。
Q. ネット販売と店頭販売、どちらが中心ですか?
A. 世和さんは「ネットよりも足で稼ぐという方が多いかな」と語られています。百貨店の催事場で全国を回り、お客さまと直接顔を合わせて販売するスタイルが軸で、お電話やメールでの注文も多いそうです。SNSやECサイト一辺倒ではない営業が特徴です。
Q. 土づくりにはどんな素材を使っていますか?
A. 米糠・大豆・鯉のアラなど、地域の産物を活用した土づくりを続けられています。派手な技術や特別な資材を打ち出すのではなく、来る年も来る年も同じ工程を丁寧に積み重ねること、それ自体を大切にされている印象でした。長年ぶれない姿勢が支えになっています。
Q. 佐藤ファームが今後目指している姿はどんなものですか?
A. 「味のばらつきがなく、毎年しっかりとした美味しいお米を作れるよう頑張っていく」と世和さんは語られていました。受賞歴があってもまだ届いていない食卓があるという意識で、来年も同じ美味しさを届けることを静かに約束されています。

佐藤ファームのお米を選び、贈答にも活用する5ステップ

各ステップをクリック(タップ)すると詳細が開きます。

Step 1:産地と歴史を知る
佐藤ファームは山形県米沢市で江戸時代から続く稲作農家で、父の代から約35年前に直販を始めた親子二代の物語があります。まずは記事で歩みをご覧ください。
Step 2:用途から品種を絞り込む
普段使い・贈答・ハレの日など用途を先に決めるのがおすすめです。つや姫・ミルキークイーン・雪若丸など9品種から味の傾向に合わせて選びます。
Step 3:受賞歴と評価を確認する
米・食味分析鑑定コンクール国際大会金賞3度、お米日本一コンテスト最優秀賞などの実績が公開されています。品質判断の一つの目安になります。
Step 4:購入チャネルを選ぶ
百貨店の米売り場、カタログギフト、催事場での試食販売、電話・メールでの直接注文など複数の経路があります。用途に合うチャネルをお選びください。
Step 5:感想を伝えてリピートにつなげる
世和さんは「美味しかったよ」と直接言ってもらえる時が一番嬉しいと語られています。感想を届けることが、長く続く関係づくりにつながります。

参考・出典

  • 取材農家ご本人の発言・公式情報(取材時点)
  • 農林水産省・各都道府県農産物統計
  • コメボウJOURNAL編集部によるオンライン取材

※本記事の情報はコメボウJOURNAL取材時点のものです。最新情報は各公式サイト・公式SNSをご確認ください。

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この記事を書いた人

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コメボウJOURNAL編集部。全国の米農家21名のオンライン取材を経て、「全国の米農家と消費者・飲食店が、直接つながる」をミッションに発信。2026年に農業DXサービス「コメボウ」を立ち上げ、取材と仕組みづくりの両軸で米農家の経営を支援している。

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