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父と、8町歩の田んぼと、これから。山本農園・山本茂春、新潟南魚沼で動き出した41歳の世代交代

2026 6/22
インタビュー 産地ガイド
コシヒカリ 新之助 新潟県 南魚沼市 世代交代 兼業農家 家族経営 直販 ふるさと納税 41歳

新潟県南魚沼市 山本農園 ── 山本茂春さん
※アイキャッチ写真:左が山本茂春さん/右は地元のもんじゃ焼き屋「山口屋」さんのご主人


新潟県南魚沼市。日本でも有数の米どころに、山本農園はある。

両親が長年続けてきた8町歩(8ha)の田んぼ。父が70歳を迎え、世代交代の時期が来た。41歳の息子・山本茂春さんは、今年から家業に本格的に加わる準備を始めている。

「いい年なのでお答えしないといけないかなと思って」

取材に応じてくれた山本さんは、控えめな笑顔で、これからの話を静かに語ってくれた。


「山本農園」が始まったのは、4年前

実は「山本農園」という名前を名乗り始めたのは、ここ4年のこと。

「両親が4年前にECサイトで売るようになって、そこから”山本農園”と言い始めたんです」

田んぼ自体は昔から家にあった。代々引き継いできた土地で、両親が米を作り、地域の中で田んぼを守ってきた。そこに、ネット直売という新しい販路が加わったのが、きっかけだった。

自分が時間をかけて作った作品で食卓に並んだ料理を引き立てることができ、家族や友人、大切な人が笑顔になる──山本さんはずっと、そんな仕事を素敵だなと思っていた。


栽培品種:コシヒカリと、新之助

山本農園の主力品種は2つ。

「コシヒカリ」と「新之助」。

新潟を代表するコシヒカリに、新潟県が満を持して送り出した新ブランド米「新之助」。どちらも粒が立つ美味しいご飯として知られる。

8町歩という規模は、地域の中では小さい部類。でも、丁寧に手をかけて育てる農園だ。繁忙期にはアルバイトを雇い、家族3人+αの体制で回している。


卸2割、直売7割── 生き残るための選択

販売構成は、ここ数年で大きく変わった。

「4年前にECサイトで直売を始める前は、ほとんど地元のバイヤーさんに卸していました。今は卸が2〜3割、残り6〜7割が直売です」

卸先だけでは、赤字になる──山本さんはずっとそう考え続けてきた。

「小売販売でなければ生き残れないと、ずっと考えてきました」

直売の内訳は、親戚、地域のお寿司屋さん、2つのECサイト、大手直販サイト、そして今年からは郵便局との連携も始まった。Instagramで親族が分担して投稿や広告運用もしている。ふるさと納税にも出品している。

小さな農園だが、販路は驚くほど多角化している。


大変なことしかない、それでも田んぼに立つ理由

「米作りで一番大変なのは何ですか?」──この問いに、山本さんは率直に答えた。

「大変なことしかないです」

暑い時期の防除や草刈り。寒い時期の田植え。年間を通じた重労働。体力も、時間も、神経も使う仕事だ。

それでも毎日、田んぼに立ち続ける。なぜか。

「自分が関わったお米を、誰かが美味しいって言ってくれる。その一言があるから、続けられるんです」


それでも続ける、”美味しい”と言ってもらえる喜び

では、なぜ農業をやるのか。山本さんの答えは明確だった。

「自分で作った作物をお客様に食べてもらって、”美味しい”と直接言ってもらえる。それが夢でした」

ECサイトを通じて、顧客の声が直接届くようになった。リピーターから「山本農園のお米でなければダメだ」と言ってもらえることもある。

もちろん、良いことばかりではない。掲示板に事実ではない可能性のあるクレームが書き込まれることもある。それでも──

「美味しいと言ってくれる人がいる。それが一番の喜びですね」


目標は、15町歩と、”専業”

山本さんには、明確な目標がある。

「専業農家として、米作りで一年間生活できるようにしたい。そして地域の老舗農家さんと肩を並べられるように、ブランディングの方法を見つけて、同じ土俵に立ちたいんです」

数字でも目標がある。今の8町歩から、15町歩まで拡大する。

ただし、強引な拡大ではない。地域の高齢化で離農される方の田んぼを、”任せてもらう”形で増やしていく。

「作業委託を丁寧にやって、信頼を得ることが重要です。父もずっとそうやってきました」

父が長年続けてきた“地域の信頼を得る農業”を、息子が引き継いでいく。


“スーパーの米との違い”を、感じてほしい

取材の最後に、消費者に伝えたいことを聞いた。

「農家からの直売米と、スーパーに並んでいる米との”違い”を感じてほしい。その中で、山本農園の米を気に入ったらリピートしてもらえると嬉しいです」

直売だからこそ届けられる米の違い。山本農園のお米は、中間流通の倉庫を経由せず、農家の家から直接、お客様の食卓へ届く。


世代交代の、瀬戸際で

山本農園は、“続く農家”と”消える農家”の境目に立っている。

全国には、父の引退を前に選択を迫られている40代・50代が数多くいる。続けるのか、たたむのか──その瀬戸際で、山本さんは「続ける」を選んだ。

「このタイミングでやらせてもらえばなと思って」

兼業から徐々に。修理の仕事を続けながら、田んぼにも立つ。すぐには専業にならなくても、少しずつ覚えて、タイミングを見て世代交代する。

焦らない。でも、止まらない。

山本農園の次の章は、静かに、でも確かに、始まっている。


■ 農家プロフィール

🏡 山本農園
👤 山本茂春 ── 41歳・後継者予定。現在は農機具屋で修理の仕事をしながら、今年から家業に本格的に加わる。両親(父70歳)が長年経営してきた田んぼを引き継ぐ準備中。
📍 新潟県南魚沼市
🌾 コシヒカリ・新之助(2品種)
✨ 家族経営/8町歩(8ha)・将来15町歩目標/農協出荷2〜3割・直販6〜7割/大手ECサイト・直販サイト・ふるさと納税・郵便局連携・地域のお寿司屋さん・親戚への販売/Instagram運用/4年前から本格的なネット直売を開始
🔗 https://yamamotonouen.net/

よくある質問|この農家・取材内容について

ご質問をクリック(タップ)すると答えが開きます。

Q. 山本農園はどんな農家ですか?
A. 新潟県南魚沼市にある家族経営の米農家で、両親が長年続けてきた8町歩(8ha)の田んぼを、41歳の息子・山本茂春さんが今年から本格的に引き継ぐ準備を進めているといわれています。父が70歳を迎え、世代交代の時期に入った世代交代真っ最中の農園です。
Q. 山本茂春さんはどんな経歴の方ですか?
A. 41歳の後継者予定で、現在は農機具屋で修理の仕事をしながら、今年から家業に本格的に加わる準備をしているといわれています。「いい年なのでお答えしないといけないかな」と語る、控えめな笑顔の方で、兼業から徐々に専業へ移行していく計画です。
Q. 山本農園で育てているお米の品種は何ですか?
A. 主力品種は「コシヒカリ」と「新之助」の2種類です。新潟を代表するコシヒカリに加えて、新潟県が満を持して送り出した新ブランド米「新之助」も栽培しています。どちらも粒が立つ美味しいご飯として知られているといわれています。
Q. 新之助とはどんなお米ですか?
A. 新潟県が満を持して送り出した新ブランド米といわれています。粒が立つ美味しいご飯として知られ、コシヒカリと並ぶ新潟の代表品種に育てられつつある品種です。山本農園では、このコシヒカリと新之助の2品種を主力として育てています。
Q. 山本農園の田んぼの規模はどのくらいですか?
A. 現在は8町歩(8ha)の田んぼを家族経営で運営しているといわれています。地域の中では小さい部類ですが、丁寧に手をかけて育てる方針です。繁忙期にはアルバイトを雇い、家族3人+αの体制で回しています。将来的には15町歩まで拡大する目標を持っています。
Q. 「山本農園」という名前はいつから使っていますか?
A. 「山本農園」という屋号を名乗り始めたのは、ここ4年ほどといわれています。両親が4年前にECサイトで直売を始めたタイミングで「山本農園」と名乗るようになりました。田んぼ自体は代々続いてきましたが、ブランド名としては比較的新しい農園です。
Q. 山本農園のお米はどこで買えますか?
A. 親戚、地域のお寿司屋さん、2つのECサイト、大手直販サイト、ふるさと納税、そして今年からは郵便局との連携でも販売しているといわれています。販路は驚くほど多角化しており、Instagramでも親族が分担して投稿や広告運用を行っています。
Q. 卸と直売の販売構成はどうなっていますか?
A. 現在は卸が2〜3割、直売が6〜7割の構成といわれています。4年前にECサイトで直売を始める前は、ほとんど地元のバイヤーさんに卸していました。「卸先だけでは赤字になる」「小売販売でなければ生き残れない」という考えから、直売中心の販路に切り替えてきた経緯があります。
Q. なぜ直販中心の販売に切り替えたのですか?
A. 卸先だけでは赤字になり、小売販売でなければ生き残れないと考え続けてきたためといわれています。直売を始めたことで、お客さまから「山本農園のお米でなければダメだ」と言ってもらえるリピーターも生まれ、直接の声が届く販売スタイルへ転換しています。
Q. 山本さんが農業を続ける理由は何ですか?
A. 「自分が関わったお米を、誰かが美味しいって言ってくれる」その一言があるから続けられるといわれています。ECサイトを通じて顧客の声が直接届くようになり、リピーターからの言葉が日々の励みになっているそうです。
Q. 米作りで一番大変なことは何ですか?
A. 山本さんは「大変なことしかない」と率直に語っています。暑い時期の防除や草刈り、寒い時期の田植え、年間を通じた重労働で、体力も時間も神経も使う仕事といわれています。それでも「美味しい」と言ってくれるお客さまの存在が、田んぼに立ち続ける理由になっています。
Q. 山本農園の今後の目標は何ですか?
A. 「専業農家として米作りで一年間生活できるようにしたい」「地域の老舗農家さんと肩を並べられるようブランディングの方法を見つけて、同じ土俵に立ちたい」という明確な目標を掲げているといわれています。数字としては、現在の8町歩から15町歩までの拡大を目指しています。
Q. 15町歩までどうやって規模を拡大していくのですか?
A. 強引な拡大ではなく、地域の高齢化で離農される方の田んぼを「任せてもらう」形で増やしていく方針といわれています。「作業委託を丁寧にやって、信頼を得ることが重要」と語り、お父さまが長年続けてきた地域の信頼を得る農業を引き継ぐ姿勢です。
Q. 山本農園のお米とスーパーのお米はどこが違いますか?
A. 「農家からの直売米と、スーパーに並んでいるお米との『違い』を感じてほしい」と消費者に呼びかけているといわれています。中間流通の倉庫を経由せず、農家の家から直接お客さまの食卓に届く点が、直売だからこそ届けられる米の違いとされています。
Q. 兼業から専業への移行はどう進めていく予定ですか?
A. すぐに専業にはならず、修理の仕事を続けながら田んぼにも立つ兼業の形で始めるといわれています。少しずつ覚えて、タイミングを見て世代交代するというのが基本方針で、「焦らない。でも、止まらない」という姿勢で次の章を進めている段階です。

山本農園の世代交代と直販中心の販路づくりの流れ

各ステップをクリック(タップ)すると詳細が開きます。

Step 1:兼業からスタートして家業に加わる
現在は農機具屋で修理の仕事を続けながら、今年から家業に本格的に加わる準備を始めています。すぐに専業にせず、兼業から徐々に農業の比重を増やしていくことで、無理のない世代交代を進めるステップです。
Step 2:コシヒカリと新之助の2品種を育てる
新潟を代表するコシヒカリに加え、新潟県の新ブランド米「新之助」を主力品種として作付けします。8町歩の田んぼで、家族3人+αの体制と繁忙期のアルバイトを組み合わせ、丁寧に手をかけて育てる工程です。
Step 3:ECサイトを軸に直販へ販路を切り替える
4年前にECサイトでの直売を開始したことを起点に、卸中心から直販中心へ販路を組み替えます。卸2〜3割・直販6〜7割の構成へ移行し、「小売販売でなければ生き残れない」という方針を実行する段階です。
Step 4:多角的な販路で顧客接点を広げる
親戚、地域のお寿司屋さん、2つのECサイト、大手直販サイト、ふるさと納税、郵便局連携など複数の販路を組み合わせます。Instagramでは親族が分担して投稿や広告運用を行い、小さな農園ながら販路を多角化していくステップです。
Step 5:信頼を積み上げて15町歩まで規模を広げる
地域の高齢化で離農される方の田んぼを、作業委託を丁寧にこなしながら「任せてもらう」形で引き受け、現在の8町歩から15町歩へ規模を広げていく目標です。父が築いてきた地域の信頼を、息子が引き継いでいく長期ステップです。

参考・出典

  • 取材農家ご本人の発言・公式情報(取材時点)
  • 農林水産省・各都道府県農産物統計
  • コメボウJOURNAL編集部によるオンライン取材

※本記事の情報はコメボウJOURNAL取材時点のものです。最新情報は各公式サイト・公式SNSをご確認ください。

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この記事を書いた人

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コメボウJOURNAL編集部。全国の米農家21名のオンライン取材を経て、「全国の米農家と消費者・飲食店が、直接つながる」をミッションに発信。2026年に農業DXサービス「コメボウ」を立ち上げ、取材と仕組みづくりの両軸で米農家の経営を支援している。

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